シャネルの名調香師、ジャック・ポルジュが、2002年にチャンスを発表しました。この香水にたいへん力を注いでいるのは、まず四角いボトルから一気に丸いボトルにデザインされていることです。最近のアリューレを見ても、シャネルの香水は昔から四角を使っていました。そして箱の色も白・黒やグレーなどを多用していますが、チャンスはピンクの箱に入っています。また、チャンスという単語は、英語でフランス語を使っていたの過去の香水に対して、英語名は最初の取組と言えます。おそらく今までのファンに加え、少し若い世代も対象に取り込むグローバル戦略をシャネルは意欲的に打ち出しているかと思われます。
 伝統的に原材料の質にかなりこだわってきたシャネルは、花やハーブなどの天然原料を育てる農園を持っている上、チュニジアやシチリア、ブラジル、コモロ島、グラース、ヴァージニア、ハイチ、レユニオン島など、多くの原産地に赴き素材を厳選してきています。そんなシャネルフレグランスの香りは、多くの香りを幾重にもちりばめた香りの玉手箱と言えるでしょう。シャネルブランドは、多くの名調香師によって、豊かな厳選された素材の重厚な香りをすばらしい技術で調香することに定評があり、評価されてきました。それに比べ、このチャンスは、重厚というよりは、むしろ単一的な素材を押し出したようなすっきりとした香りに仕上がっています。けれども、このチャンスがどうしてここまで革新的だと評価されているのかは、香水の基本となるトップ・ミドル・ラストノートというような時間経過による香りの変化が少ないことが、特筆されるでしょう。つまりジャック・ポルジュは、それぞれの香りのエッセンスを強く繋がりあわせて、その循環を崩れにくくすることによって、香りを一定期間、変化させないことに成功したのです。その香りは、従来のシャネルファンだけには、とどまらずティーンエイジャーからも絶大な支持を受けています。現代時勢も反映した、この新しいさわやかですっきりとした香りが、大きな評価を受けたと言えます。
 ココシャネルはチャンスという言葉が好きだったようです。チャンスがなければ人生はつまらないもだと言えるからです。そのようなココの思いが詰まっている言霊にフレグランスも見事に答えデザインされているのです。
 そして、チャンスは、2002年発売後にチャンス オー フレッシュ、チャンス オー タンドゥル、チャンス オー ヴィーヴという新たな3種類を発表し、チャンスシリーズを充実させています。